顧客は業務選定をしようとするとき、多くの場合複数社で比較した上で業務を発注します。
比較する部分は大きく分けて5つの要素があり、どこにウェイトを置いているかは顧客によって異なります。
顧客が求める5つの要素とは何なのか確認してみましょう。
業者選定に重要な5つの要素とは?
①安全・安心であること
どんな仕事でも前提となることではありますが、依頼したことがきちんと履行されるかどうかは非常に重要です。
安全・安心ではない会社には金額が安くても、納期が早くても頼みにくいものです。
- 依頼した業務は問題なく履行されるか?
- 依頼する業務と同じような実績があるか?
- 経営状態は大丈夫か?
- 事故は起こらないか?
自分が顧客の立場だとしたら、これらの心配をして不安に思いながらも仕事を頼むということはまずありえません。
自社のサービス(商品)が安全・安心であることは、顧客が仕事を依頼する上で前提条件ともなり得る重要な要素なのです。
②工期・納期が満たされること
多くの場合見積依頼の段階で、営業は提供するサービス(商品)の工期や納期を確認しなければなりません。
仕事が受注確定したはよいが、顧客が求める工期や納期に間に合わせることが物理的に不可能ということになると、著しく会社の評判を落とすことになります。
どんな仕事にも工期や納期があります。
工期や納期から逆算した工程を組み、満たすことができなければ受けることはできません。
業界的な繁忙期でどうしても仕事を受けられない時期などには、既存固定客の業務依頼であっても、自社の工程が回らないことで断らなければならない事態となることがあるかもしれません。
工期・納期を満たせるかどうかは顧客が求める重要な要素となります。
>>納期遅れの対応はどうしたらよい?解決に導く手順を解説します
③品質が良いこと
当然品質が良いに越したことはありませんが、どの程度の品質を求めているかは顧客によって異なります。
ある程度の予算で一定条件を満たせればよいのか、費用をかけてでも高品質なものを求めるのか。
営業マンは顧客のニーズをくみ取って、最善の商品(サービス)を提案しなければなりません。
このとき、ある程度競合他社と同額で品質に差があるのであれば、品質の良い商品を選びます。
自社の商品やサービスの質を上げることは競争力を高めることになるのです。
④金額が安いこと
顧客は決められた予算内で業務を発注しなければなりません。
予算を最小限にしたいという思いはどの顧客も同じで、決裁者は安くすればするほど会社からの評価があがります。
それは原価・利益・結果を会社側は決裁者に求めるからです。
そのため、多くの会社は複数社見積比較を行います。
金額だけで決める顧客も存在し、決定条件は金額だけということも往々にしてあります。
入札方式にもよりますが、官庁の公共工事や委託業務は一定条件の会社が入札に参加し、金額のみで落札業者が決定されます。
金額が安いことは業者決定の重要な要素となるのです。
>>営業の正しい見積書の作り方とは?原価の把握がスタートライン!
⑤営業マンが質が良いこと
営業マンの質も業者決定における重要な要素となります。
印象の良くない営業マンの会社には、金額がどれだけ安くても発注はしません。
逆に、それまでの人間関係や営業マンの質が良ければ、他の競合をシャットアウトしてもらえたり、金額が高くても仕事をもらえたりします。
最後の決め手となるのは営業マンの質です。
営業マンは個の質を高め、ここで他社と勝負をしたいところですね。
>>営業の差別化で競合に差をつけろ!受注確率を高める6つのポイント
業者選定する際に何を重視するかの見分け方
面会時の会話から見抜く
営業マンは顧客との会話の中から、業者選定を決定する要素として顧客が何を重視しているのか、どこに重点を置いているのかを見抜くことが大切です。
安かろう悪かろうでもよいからとにかく安いことを重視.
金額が高くてもよいから間違いない仕事をしてほしい.
重視している要素をつかみその要素を重点的に攻めるのが効果的なのです。
- 安全・安心であること
- 工期・納期が満たされること
- 品質が良いこと
- 金額が安いこと
- 営業マンの質が良いこと
これら顧客のの求める5つの要素のうちどこに重点を置いているのかを、会話の中で探ってみましょう。
既存業者を確認する
新規顧客に対して営業するということは、多くの場合今まで使っていた既存業者があるはずです。
それぞれの市場において営業活動はシェアの奪い合いなのです。
既存業者はどこを使っているのか?
直接的に確認できれば金額的な相場の把握ができ、どこに重点を置いている会社かをある程度つかむことができます。
そのためには競合の情報も常に収集しておくことが重要です。
価格競争で以前負けた、提案力で負けた、といった過去の結果も記録として残しておきましょう。
しかしながら、既存業者を直接的に聞いて教えてくれなかったり、聞くことで印象を悪くしてしまったりすることもありえます。
「今回、何社程度見積比較のご予定ですか?」
というように遠回りの質問をして、様子を見ながら確認していくようにしましょう。
>>競合の情報収集をしよう!営業戦略に活かせる5つのポイントとは?
全ての要素をつぶしていく
業者選定に重要な5つの要素のうち、全ての要素を満たしていけば自ずと受注確率は上がっていくはずです。
全ての要素をつぶしていくことで、顧客との信頼関係が生まれ安心して仕事を依頼できるからです。
5つの要素を理解してそれぞれの要素をアピールしていきましょう。
しかし、競合他社もそれぞれできるところまで攻めてきます。
①安全・安心②工期・納期③品質④金額については、会社の環境によりますが、ある程度横並びになってくることがあります。
全社条件が横並びのときに決定要素となり得るのは営業マンの質によるところが大きくなります。
個の質を高めることは常に意識していきたいところです。
営業マンの裁量では、会社の方針や環境により①~④の要素は満たせないこともあるのは仕方がありません。
会社が繁忙していれば①~④の要素を満たせず、土俵にすら乗らないこともあるはずです。
>>営業はクロージングするまで気を抜くな!契約確定までのアプローチ
業者選定で重視するポイントに営業は合わせろ
①安全・安心を重視する顧客
とにかく間違いない仕事をしてほしいという顧客には、自社の規模や過去の実績をアピールすることが効果的です。
特に同一顧客の実績や同内容の実績があると安心させることができます。
顧客面会時までに自社の実績などアピールできる材料を用意しておきましょう。
②工期・納期を重視する顧客
厳しい工期・納期を満たせるかが条件となる場合、自社の工程管理者と綿密な相談を行い、調整できるかが業者選定のカギとなります。
このとき調整するスピードがものをいいます。
他の会社が先に調整できると回答されると受注は難しくなります。
工程調整のスピード力が問われますので、最優先で調整しましょう。
③品質を重視する顧客
価格は高くても良いから高品質を求める顧客には、自社の技術力が問われます。
顧客のニーズを正確にくみ取り、ニーズに合った商品(サービス)を提供できるかがカギとなります。
営業マンが自社の技術力に対して、正確に顧客のニーズをくみ取れるかが勝負になります。
あとは自社の技術力を信じるのみです。
④金額を重視する顧客
品質は多少悪くてもよいから、とにかく安い商品(サービス)がよいという顧客には、どこまで品質を下げてもよいか条件面をつめましょう。
細かい条件面をクリアにすることで、価格を下げることができるはずです。
また、競合の情報も大切です。
競合の社名、競合する会社数、競合の提示条件などを可能な限り収集し、価格を精査しましょう。
⑤営業マンの質を重視する顧客
①安全・安心②工期・納期③品質④金額の要素がほぼ横並びのとき、決定要素となるのは営業マンの質です。
営業マンの身だしなみ、礼儀、話し方、知識、スピード、提案力、対応力、必死さ等色々な部分を競合の営業マンと比較します。
不調となるときは競合の営業マンに質で負けたということです。
どこで負けたのかを把握して修正していくことが大切になりますね。
営業マンの質を重視する顧客は、一度仕事をするとリピートしてくれる可能性が高い顧客です。
更に人間関係を構築していけば、他の競合より金額が高くても仕事を依頼してくれたり、競合からの営業を断ってくれたりします。
業者選定に重要な要素 まとめ
業者選定に重要な要素。
①安全・安心②工期・納期③品質④金額⑤
営業を理解して、戦略的に営業活動をするともっと仕事は面白いし、受注も増えてくるはずです。
特に⑤営業の質は自分次第です。個の質を高めることが大きな差別化になりますので、自分の武器を磨くようにしましょう。
営業マンとの人間関係を重視する顧客をたくさん見つけ、たくさん作ることが営業マンとして成功する決め手です。
一度仕事をして対応がよかったと感じてくれれば、リピートしてもらえる可能性があります。
営業マンにとって初めての仕事よりリピートしてくれることの方が、自分自身や会社を評価してくれているのでうれしいはずです。
リピートの繰り返しの中で人間関係を更に深め、他の競合からの営業を断ってくれるような関係を作るようにしましょう。
⇩競合の情報を収集しましょう!
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