「特記仕様書」の意味と正しい読み解き方が理解できていますか?
難しい言葉が並ぶのでなかな分かりにくいですよね。
官公庁発注の工事や委託業務を行う企業であれば、特記仕様書を読み解けなければ業務を遂行することはできません。
そこで、特記仕様書の意味と正しい読み解き方を解説します。
特記仕様書とは?
特記仕様書とは何かを確認していきましょう。
特記仕様書と標準仕様書の違いが分かるように解説していきます。
特記仕様書の意味
まずは、特記仕様書(とっきしようしょ)の意味から確認していきましょう。
特記仕様書とは「標準仕様書に記される共通事項以外に、それぞれの工事や委託業務の特有事項を示した仕様書」を示します。
「仕様書」とは施工を行うための品質、成分、性能、精度、数量、手順などを記した書類を意味しています。
一般的に起業者(自治体などの官公庁)は工事や委託業務を発注するときに、どのように施工するかを定める必要があります。
その際に最も優先されるべき仕様書が特記仕様書となります。
その工事や委託業務を遂行するための最も大事な設計書類です。
特記(とっき)と略して呼ばれます。
標準仕様書とは
「標準仕様書」とは、国や地方自治体などが施工するために作成した仕様書で、施工するための基本事項を定めています。
共通仕様書、または単に仕様書と呼ばれることもあります。
例を挙げてみましょう。
これらのように国や地方自治体ごとに標準仕様書を作成しており、工事や委託業務におけるの基本事項を書類としてまとめているのです。
標準仕様書より特記仕様書が優先
特記仕様書と標準仕様書では特記仕様書が優先されます。
これはどの工事や委託業務でも同じですので必ず覚えておきましょう。
特記仕様書はその工事や委託業務ごとに作成された仕様書です。
現場の状況や特質に合わせて設計しているため、数量や施工手順などすべてにおいて独自の内容となっているのです。
多くの場合、特記仕様書において「記載がないことはこの標準仕様書に準じなさい」と表記されています。
特記仕様書を最優先、その上でいくつか挙げる標準仕様書に準じて施工しなさいというわけです。
標準仕様書と内容がそぐわない点があっても、特記仕様書が優先されます。
標準仕様書はあくまで施工に関する基本事項が記載されているものですので、特記仕様書と照らし合わせながら確認しなければなりません。
特記仕様書の正しい読み解き方
特記仕様書は工事や委託業務において最も大切な設計書です。
特記仕様書の正しい読み解き方を確認していきましょう。
元請業者はすべて網羅
工事で言えばゼネコンと言われるような元請業者は、特記仕様書の内容をすべて網羅して施工しなければなりません。
>>ゼネコンとは何の略?わかりやすく言葉の意味と定義を確認しよう
特記仕様書の内容が漏れていました。
確認し損ねていましたでは済みません。
大きな事故となる可能性もありますので、細心の注意を払って読み込むようにしましょう。
一言一句しっかり読み込んで、不足の無いように施工する必要があるのです。
特に竣工検査では、検査官から特記仕様書の内容が網羅されているか細かく確認されることがあります。
特記仕様書の内容も網羅しておらず検査に不合格となると、施工のやり直しや修正だけでなく大きく会社の信用を失う可能性があります。
それだけ大事なのが特記仕様書なのです。
元請業者はすべて網羅するよう読みこむようにしましょう。
協力会社は必要な箇所を見つける
公共工事の施工は1社だけで行うものではありません。
ゼネコンと呼ばれるような施工会社は、複数の協力会社を駆使して施工を行っていきます。
当然、施工会社がすべて特記仕様書を読み解かなればならないのですが、専門的な業務についてなかなか理解ができないこともあります。
そこで、協力会社は施工会社からもらった特記仕様書に基づき、手伝える必要な箇所を見つけることが重要です。
ゼネコンへの営業をする協力会社は、自社商品を特記仕様書の中から読み解けなければ仕事ができません。
協力会社は自社の提供できるサービスや商品を、特記仕様書から読み解いて提案するのです。
>>建設業界で使われる「協力会社」とは?正しい意味と元請との関係性
内訳書との照らし合わせ
特記仕様書の数量と内訳書は照らし合わせながら確認しましょう。
数量の記載がお互いにかみ合っているをよく見てください。
例えば、特記仕様書では10回となっている数量が、内訳書では1式となっている場合もあります。
このときは特記仕様書の10回を正として数量は計算する必要があります。
逆に特記仕様書には数量が記載されておらず、内訳書に10回と記載されていれば内訳書の数量が正となります。
特記仕様書と内訳書の数量が合わない場合もありますので、照らし合わせながら発注者と協議していくことが大切です。
図面や現地状況との照らし合わせ
図面や現地状況と特記仕様書を照らして確認することが重要です。
特記仕様書はあくまで発注者が机上で作成しているものです。
現地状況が特記仕様書とそぐわないことも考えられます。
そのため、現地踏査は非常に重要です。
特記仕様書や図面を現地状況と照らし合わせて、協議しながら施工をしかなければなりません。
標準仕様書との違いをつかむ
特記仕様書と標準仕様書の違いがあるか、細かく読み解かねばなりません。
原則として特記仕様書の記載事項が標準仕様書よりも優先されます。
しかし、標準仕様書に記載されている施工方法と全く異なる場合があります。
特記仕様書が優先だからと鵜呑みにして、すべて進めていくと施工しにくい場合もあります。
場合によっては発注者の間違いの場合もありますので、基本的な標準仕様書の考え方を踏襲しつつ進めるようにしましょう。
そのためには、標準仕様書の内容を把握し、特記仕様書との違いをつかむことが大切になります。
発注者との協議
特記仕様書はその現場独自の仕様書です。
そのため、標準仕様書に記載のない特別な工法や数量が記載されています。
不明点については必ず発注者に確認しながら進めましょう。
- 直接口頭で質問する
- 質問書を送る
- 協議書として書面で確認する
- 計画書で提案する
これらのように発注者への確認方法をいくつかあります。
解説していきます。
直接口頭で確認する
口頭の質問で回答がもらえるような内容であれば、口頭で質問しましょう。
契約後であれば細かい打合せが必要になりますので、確認しながら進めていきます。
質問書を送る
まだ入札前の段階であれば、特記仕様書の内容についての問い合わせは口頭で行うことはできません。
質問書を送ることで書面で回答をもらいます。
協議書として書面で確認する
数量や金額にかかわる部分などは、協議書として正式に確認を求めます。
発注者の担当者から監督員まで書面で承認を得ることで、数量の変更や施工の承認を得ることが大切です。
計画書で提案する
特記仕様書で読み解きが難しい部分で、発注者も回答を持っていない場合があります。
そのようなときは、標準仕様書や現地状況に即した計画書を作成し提案して進めましょう。
特記仕様書とは まとめ
特記仕様書は公共工事や委託業務の施工に際し、その現場に即した最も重要な書類です。
特記仕様書は標準仕様書よりも優先させることは必ず覚えておかなければなりません。
特記仕様書を正しく読み解くために、これらを意識して積算や施工をしていきましょう。
⇩建設業界で使われるNET(ネット価格)の意味は分かりますか?
⇩三社見積の正しい作り方!
⇩官公庁への営業と入札の仕組みについてはこちら!