繁忙期ってどの会社にもありますよね?
買いたい人はいるのに、売りたいサービスが繁忙し過ぎて用意できない。
そんな時、営業マンはどのように動いたらよいのでしょうか?
過受注時の営業活動について解説します。
過受注って何?
お金と仕事は需要と供給で動いています。
欲しい人と売りたい人がマッチングしてこそ売買は成立します。
ここで仕事量があり過ぎて、需要に対して供給が追いつかない状態となることがあります。
それが過受注(かじゅちゅう)です。
特に労務サービスの場合は顕著です。
マンパワーの必要な仕事では人の確保と育成が必要ですので、足りないからといってすぐ補充できるものではないのです。
過受注のデメリット
仕事がたくさんあるということは良いことですが、以下のようなデメリットもありますので注意が必要です。
どれもこれも本当に困るデメリットです。
それでは、過受注のデメリットについて解説していきましょう。
ルート顧客を断ると競合に参入される
単独一社で仕事の依頼をくれるルート顧客。
どうしても依頼を断らなければならないとなると、どこか別の会社に依頼しなければなりません。
金額比較もせずに仕事をもらっていたはずなのに、1回でも別の会社に仕事が流れると見積比較もされますし、最悪の場合乗り換えられてしまいます。
断れずにパンクする
顧客を失ってしまうという不安や強引な依頼から、断れずに受けてしまうと失敗します。
いよいよすべてを回すことができずに、パンクしてお手上げという最悪の事態です。
どれもこれも工期に間に合わない事態になるかもしれず、すべての顧客に迷惑がかかります。
受ける受けないの判断は正確に行わなければなりません。
すべての顧客に迷惑をかけるなら、どれか仕事を断った方が良いでしょう。
技術職に負担がかかる
マンパワーサービスの資本は人です。
休日出勤や残業を強いて、体調を崩したり、辞められたりしては状況をさらに悪化させることになります。
どれだけ繁忙していても、シフトや工程は休みを踏まえて組む必要があります。
休みを潰してでも受注を優先するわけにもいかないのです。
忙しさからミスが起こる
忙しくなり過ぎると1つ1つの仕事が雑になりがちです。
そのため、忙しい時ほどミスが起こりやすくなります。
ミスにより顧客に迷惑をかけるとお詫びしなければならなかったり、信用を失ったりします。
修正だけで済む問題では無いのです。
しかも、やり直しや修正は正確にチェックするよりも時間や労力を要します。
忙しい時ほど正確なチェックが必要なのです。
納期の管理もしっかりしないとトラブルになるかもしれませんよ。
>>納期遅れの対応はどうしたらよい?解決に導く手順を解説します
過受注時にすべき営業活動フロー
過受注状態になると、繁忙している労務サービスについては営業できません。
「忙しいから対応できませんが、見積させてください」
なんて言えませんよね。
では、こんなときは営業マンはどのような営業活動をしたら良いのでしょう?
業務フローについては以下を参照してみてください。
●過受注状態の予防
(自社商品ごとの繁忙状況の把握)
⇩
●営業活動の調整
⇩
●断る顧客と受ける顧客の選別
(ときには断る)
⇩
●過受注時にできる営業活動
それでは、詳しく解説していきましょう。
過受注状態の予防
まずは過受注状態にならないよう予防することが大切です。
過受注状態の予防法を確認していきましょう。
自社商品ごとの繁忙状況の把握
自社商品やサービスの工程は、1日単位と1ヶ月単位などで管理すべきです。
稼働している進捗残務を正確に日々更新して管理します。
合わせて、営業の内定見込みを含めた大枠の工程を基に、営業は売るべき商品を選定して営業活動しなければなりません。
これを怠ると自社商品の在庫がわからなくなり、過受注状態を引き起こす可能性が高まります。
営業活動の調整
過受注状態の予防をしていても、時期や営業の頑張り次第で過受注状態は起こりえます。
大事なことはその後の営業活動です。
まずは新規営業活動の調整しましょう。
- 単価が安くなりそうな案件
- 受注しても捌けなそうな案件
- 実績のない顧客
これらを中心に新規営業をストップします。
これは自社サービスの繁忙状況に応じて継続しなければなりません。
新規営業の再開時期は稼働中と受注見込みから正確に判断していきましょう。
断る顧客と受ける顧客の選別
営業マンは新規顧客を追うことが仕事だと思われがちですが、既存客を守ることはもっと大事な仕事です。
既存客はこれまで仕事を提供してくれていたということだけではなく、今後も仕事をくれる見込み客です。
新規顧客がまた仕事をくれるとも限りませんし、受注確率も既存客の方がはるかに高いはずです。
特に100%業務依頼をしてくれる顧客の依頼を断ってはいけません。
競合が入り込み、単価の下落や最悪の場合顧客を奪われてしまいます。
絶対に受ける顧客と断る顧客は状況によって選別が必要になります。
今後の仕事量なども含めて総合的に判断していきましょう。
>>【既存顧客と新規顧客】優先すべきはどっち?原則は既存顧客だが例外も
ときには断る
営業マンが喉から手が出るほどほしい数字です。
目の前に数字があるのに取れないというのは営業にとってすごく悔しいことですが、仕方がありません。
工程で断るということはどこの業界でもあることです。
断るべき案件、顧客が選別されたら、素直に詫びて断りましょう。
工程による譲歩があるのであれば当然受けても大丈夫です。
しかし、顧客に迷惑をかけないことが次の仕事に繋がります。
「また次回お願いします」次に繋がる言葉を伝えましょう。
⇩合わせて読みたい!上手な断り方に関する記事
>>嫌な新規依頼の上手な断り方とは?営業マンにも断る権利があります
過受注時に行うべき営業活動
過受注時は行える営業活動が制限されます。営業したいけどできない、これは労務サービスにおけるジレンマといえます。
では、過受注状態になったときにはどんな営業マンはどのように行動したらよいのでしょう?
既存顧客の定期訪問
既存顧客の訪問営業は即効性がありません。
すぐに成果が出ないので、近くに行ったついでで行うのが通常は生産的です。
しかし、過受注状態では、即効性のある仕事を獲得できませんので、定期訪問は必要に応じて行ってもよいでしょう。
顔を出すだけで人間関係を深める、薄まっていた関係を再構築する、情報を収集するといった効果が期待できます。
新規顧客のバラマキ営業
新規営業はある程度見込み顧客を選別して行う会社が多いことでしょう。
何も情報を持たずに手当たり次第に営業しても非効率だからです。
ただし、過受注状態のときにはバラマキ営業は有効です。
見積見込みの薄そうな実績の無い顧客に対し、電話営業や飛び込みで会社案内を行います。
即効性はありませんが、会社の名前を売れるので裾野を広げることができるのです。
ここで1つ注意点があります。
タイミングよく、急ぎの見積案件が引けてしまう可能性があります。
その際に工程や金額で断るのは印象が悪くなることがありますので、自社の工程を確認の上営業活動を行うようにしましょう。
在庫の多い商品の営業
自社の主力商品が過受注状態であっても、在庫の多い商品(人に余裕のあるサービス)があるのであれば、在庫の多い商品を中心に営業活動を行いましょう。
在庫の多い商品は需要が少なかったり、競合に比べて金額を下げられなかったりする商品であっても仕方がありません。
少しでも数字の上積みが見込めるのであれば、立ち止まらずに営業すべきです。
「主力商品が繁忙しているのですが、弊社は(在庫の多い)商品も扱っておりまして~」と、既存客に対しても案内していきましょう。
新しい市場の開拓
過受注時は普段なかなかできない営業活動を行うのも手段の1つです。
遠方エリア、違う業種、新しい商品などに挑戦してもよいかもしれません。
実は知らなかっただけで、そこに市場があったということを知ることができれば、今後本格的な営業活動を行えばよいのです。
市場を探す時間もときには必要と割り切ってもよいかもしれませんね。
技術職のサポート
営業職の本分はやはり受注活動にあるわけですが、技術職のサポートもときには行う必要があるかもしれません。
工程でどうしても困ってしまったときには、営業職がサポートして解決するのなら手伝ってもよいでしょう。
過受注状態の解消がまた新規営業再開の条件にもなります。
セクションが違っても同じ社内ですのでが、困った時には気持ちよく助け合えるとよいですね。
過受注時の営業活動 まとめ
営業が頑張って仕事を取ってくることはとてもよいことですが、過受注状態となってしまうとデメリットも発生します。
これは労務サービスを提供する会社のジレンマかもしれません。
しかし、ここで立ち止まってはいけません。
過受注状態とならないよう予防することはもちろんですが、過受注状態となってもできる営業活動はあるのです。
逆に、だからこそ普段できない営業活動をするのだと、状況に合わせて考えて行動するようにしましょう。