不安な感情と人の購買意欲には密接な関係があります。
不安な気持ちを安心に変えるための商品やサービスは優先して購入しているはずです。
顧客の不安を安心に変える提案は購買意欲を高めることにつながります。
そんな営業テクニックを紹介しましょう。
不安と安心の関係
不安と安心の感情は表裏一体です。
まずは不安の意味と安心の意味を確認してみましょう。
不安の意味
不安(ふあん)とは、辞書で調べると「安心できないこと。気がかりで落ち着かないこと。また、そのさま。心配。不安心。」と記されています。
誰しもが感じたことがある感情ですよね?
不安は自分や周囲の未来に対する失敗やトラブルに対して感じやすい感情といえます。
安心の意味
安心(安心)とは辞書で調べると「心が安らかに落ち着いていること。不安や心配がないこと。また、そのさま」と記されています。
不安のない状態が安心です。
安心は不安の感情が解消されたときに生まれる感情なのです。
不安は早く解消したい
誰しも不安で気がかりな状態は嫌なものです。
「早く不安を解消して安心したい」というのは、潜在的な当然の感情といえます。
不安を解消し安心するために必要なことは「未来に対する備えや準備」です。
失敗やトラブルが起こっても大丈夫、どうにかなるという備えができていれば、ある程度不安は解消されるはずです。
不安を安心に変えるのに必要なこと
不安を安心に変えるのに必要なことは「未来に対する備えや準備」としました。
備えや準備をするためには、当然支出が必要となります。
しかし、全ての不安に対する備えや準備を不可能です。
突然地震がくるかもしれない、明日癌になるかもしれない、といった不安すべてにお金をかけることはできないからです。
では、不安に対するお金は何が優先されるのでしょう?
その優先度は下記のように考えられます。
これらの不安要素がそれぞれ高まってくればくるほど、不安に備えようという心理が働くのです。
不安への準備や備えの例
大型台風が予想される場合を例に考えてみましょう。
起こり得る不安要素の度合いが強いほど、準備や備えを行い購買意欲が高まります。
不安要素の度合いが強いこと
生死や健康上の不安、家族、住居などのリスクが高いほど、準備や備えをしようという心理が働きます。
費用がかかってもこれらのリスクに対する準備や備えをしておかないと、取り返しのつかない事故が起こり得る可能性があるからです。
海や川が近く、浸水被害が懸念されるような地域では特に準備や備えが必要です。
不安要素が現実に起こる可能性が高いこと
天気予報による大型台風が直撃する可能性が高い、リスクが現実になる可能性が高いと考えることほど、準備や備えをしておこうという心理が働きます。
逆に台風がそれるかもしれない、自宅付近にはこないだろうと想定される場合は準備や備えに対する意識が弱まります。
不安要素が現実になる期日が近いこと
台風がもうすぐ上陸する、という期日が近づくほど準備や備えに対する心理が働きます。
3日後まだ大丈夫、2日前準備しようかな、1日前焦って買う、というように期日が近づくにつれて、不安は大きくなります。
過去にある明確な事例
過去に明確な事例や経験があるほど、不安の実現に不安を覚えるものです。
付近の河川が氾濫した経験があれば、その経験のもと準備や備えをより行います。
テレビなどで瓦が飛ぶ映像を見たり、youtubeで竜巻の動画を見たりすることも明確な事例による不安を増大させられます。
周囲の反応
自分では大丈夫であろうと考えていても、周囲の反応で不安を感じるということもあります。
スーパーやホームセンターの防災品や備蓄品の購入に人が殺到した場合、大丈夫だと思っていても備えをしていない人は不安を覚えるはずです。
周りと違う行動や環境に人は不安を覚えるものです。
多数派の方が安心感があります。
不安を安心に変える営業テクニック
不安を解消する提案は営業の場で活かすことができます。
特に、保険業界や不動産業界では一般的に使われている営業テクニックです。
不安を安心に変えることが購買につながります。
リスクの軽減を説明する
依頼しなかった場合取り返しのつかない重大なリスクがあると不安になります。
保険の営業マンと話していたら、いつの間にか契約するつもりのなかった保険を契約してしまったなんてことがある人も少なくありません。
死亡保険、医療保険、がん保険などは緊急性や重大性を感じず加入していない人もたくさんいます。
しかし、保険の営業マンと話しているうちに不安を感じて購入の必要性を考えてしまうことがあるはずです。
結婚して子どもが生まれてという人生の転機に、もし自分に何かあった場合家族はどうなるか?
健康なときにはあまり考えられないかもしれません。
そんなときに保険の営業マンと話すと自分が死亡したり、重大な病気にかかった場合の家族を想像するよう話をしてきます。
大切な家族が困ってしまう状態を想像してしまうと不安な気持ちが増大します。
保険に加入していれば家族のリスクが軽減される。
これが安心感につながり購買意欲につながるのです。
不安要素発生の可能性を説く
不安要素が実際に起こる可能性が高ければ高いほど不安は強くなります。
保険の営業であれば医療保険やがん保険において、どれだけ病気やがんのリスクが身近に起こりうるかを説くかがカギとなります。
「30代で〇〇%、40代で〇〇%の方が入院するような病気やがんにかかっています」というように可能性をイメージさせると効果的です。
不測の事態の可能性が高いと感じると不安な気持ちが増長します。
いざ病気やがんになったらと想像すると保険に加入しようという気持ちになるかもしれません。
起こり得る不安の可能性が高い、という不安を取り除いてあげるのです。
仕事を受けられる期限や期日を設ける
期限や期日があると焦りの気持ちから不安が増長されます。
例えば、「キャンペーンで〇日までに申し込みいただくと20%還元」のように申込期間に制限を与えると、その期日までに申し込みをしようという気になります。
また、不動産売買において気に入った物件があった際に営業マンはこのように言ってきます。
「購入は早い者勝ちです。」
「他の申し込みが先に入ってしまうと交渉すらできなくなってしまいます。」
「とりあえず申し込みだけしておきましょう。後からでも断れますので」
これが不動産営業の心理テクニックです。
「今を逃すとこの気に入った物件を買えなくなるかもしれない」という不安を解消させるには申し込みが必要と考えさせることで購入を促すのです。
実際に良い物件ほど申し込みが入ります。
時間をかけたら買えなくなるかもしれないという不安の解消に導くのです。
不安要素が現実に起こった事例を紹介
具体的な事例はイメージを鮮明にしますので効果的です。
保険会社の営業は死亡保険を進める際には、自分の顧客にまつわる具体的な事例(真偽はわかりませんが)を紹介してくるはずです。
「死亡保険に入っていなかったために、奥さん一人で毎日朝から遅くまで働きながら子どもを育てている家庭を見てきました。
ご家族のためにもご検討をおすすめします。」
その話を自分に置き換えさせ、愛する奥さんや子どもを路頭に迷わせるわけにはいかない、と将来に対する不安を持たせることが契約につながるのです。
同様顧客の実績を紹介
多数派に弱いのが日本人の特徴といえます。
同様顧客の実績が多ければ多いほど、少数派になることに対する不安を感じてしまうわけです。
例えば、保険を決めた後に「追加+500円で〇〇の補償がつくオプションはどうしましょうか?9割くらいの方がつけておりますが」といわれるとオプションをつける方が増えます。
大多数の9割が決めているという情報に、断った1割で大丈夫だろうか?と不安になってしまうのです。
数字で示し多数派を示すことは、不安を解消する営業テクニックの1つなのです。
不安を安心に変える提案 まとめ
「不安」という感情は人の感情の中でも強く作用し、「安心」に向けての行動を取らせます。
そのため、不安を解消させる商品やサービスは不安を煽ることで購買意欲を駆り立てることができるのです。
この不安を解消する心理テクニックをうまく使った交渉術をマスターすれば、受注確率をさらに上げることが可能になりますので意識してみてくださいね。
⇩さらに受注確率を高める記事