2020年4月7日緊急事態宣言が発令されました。
建設業界や公共工事はどうなるのか先行きが懸念されていました。
国の方針としては当面止まらないことが決定的となっています。
この状況下で建設業界の今後がどうなっていくのか考える必要がありそうです。
緊急事態宣言で建設業界も公共工事も止まらない理由
緊急事態宣言を受けて、どうして建設業界も公共工事も止まらないのでしょうか?
その理由を考えてみます。
経済的なダメージの懸念
建設業界は50兆円を超える業界規模があり、不動産や鉄鋼などとも横でつながっている業界です。
建設業界が止まると深刻な経済的なダメージが予測された結果が要因の1つに考えられます。
もし工事のストップや延伸が行われた場合、倒産する企業も出てくる可能性が高まります。
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銀行からの借り入れや返却などの問題も出てきます。
金融機関とも繋がっていることで調整はなかなか困難かもしれません。
多くの労働者への懸念
建設業界は500万人近くの労働者を抱える業界です。
工事の中断をすることで生活費を確保できなくなる労働者への懸念もあります。
建設業界は色々な職種が集まっています。
緊急性がない工事であっても、そこで働く労働者の生活がかかっていることが問題となっています。
大きな保障問題にも発展しかねない部分も要因となっているはずです。
三密を回避できそう
三密(密閉空間、密集場所、密接場面)を避けることが難しい業界は、自粛要請となりました。
バー・ナイトクラブ・カラオケ・居酒屋などはこれに当たります。
建設業界は土木工事・建設工事・設備工事などに分けられますが、屋外での勤務に関してはクリアできそうです。
屋内の工事で人が複数集まる現場については懸念が残ります。
また、建設業界に属する営業職などのホワイトワーカ-には、リモート勤務などが求められます。
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緊急事態宣言を受けて建設業界も公共工事も止まる場合
公共工事が止まらなければ、民間の建設事業も継続される見通しです。
ただし、緊急事態宣言を受けて、公共工事は全く止まらないわけではないようです。
公共工事が止まる場合を考えてみます。
自治体の判断
東京都などの自治体は緊急事態宣言を受けて、自粛要請の業種の中に建設業を含める可能性があります。
国と自治体で考えが異なる部分がありますので、自治体が独自の判断をしてくる可能性は否定できません。
今後の動き次第では自治体ごとに独自の判断があるかもしれません。
受注者との協議
公共工事は受注者との協議を行い、受注者から工事中断の申し出があった場合や、中断の必要性がある場合には検討されるようです。
緊急事態宣言を受けて、工期の相談を含め受注者が申し出するケースは今後あるかもしれません。
あくまでも自治体と受注者が協議の上というスタンスのようです。
工期や理由との兼ね合いもありますが、自粛を決めた業者へのペナルティなく、工事中断に応じるようです。
感染者が確認された場合
新型コロナウィルスの感染者が確認された場合は、公共工事も中断の可能性があります。
濃厚接触者を含む自宅待機期間などで、施工が困難になった場合は工事中断となるでしょう。
自宅待機とならない以上、感染者が発生する可能性は当然あります。
感染拡大の状況次第
新型コロナウィルスの感染拡大の状況次第では、公共工事の全体的な自粛要請があるかもしれません。
国の判断の中に建設業界の自粛は含まれませんでしたが、自粛要請に含まれない多くの労働者が動く限り、感染拡大のリスクは膨らみます。
感染拡大の状況次第では、更なる追加対策として公共工事の中断が判断される可能性も否定できません。
建設業界にできる感染拡大の予防策
緊急事態宣言を受けても、建設業界が動き続ける以上、新型コロナウィルスの予防として気を付けなればいけないことがあります。
感染拡大を防ぐためにも予防策を講じていく必要があります。
労働者の体調を監督
施工の安全面はもとより、労働者の体調管理は必須事項となります。
毎朝検温し、体調チェックを行います。
少しでも体調不良を感じた場合は、自宅待機にするなど感染防止を勧めなければなりません。
三密環境を作らない
建設現場において、三密(密閉空間、密集場所、密接場面)となる環境を作らないようにする必要があります。
一部施工現場では密閉空間での作業が必要となることがあるはずです。
人数を制限するなどの工夫は必要となってきます。
また、現場事務所はマンションの1室など狭い空間であることが多いものです。
換気を含めた対策が求められます。
リモート勤務が可能であればリモート勤務も進める必要性があります。
>>平日もコロナで在宅となったときにサラリーマンは何をすべきか?
移動手段の工夫
建設業界の労働者の移動手段についても、マイカー通勤や時間差通勤などの活用が必要です。
コアタイムに移動しなければならないようであれば、感染リスクは否めません。
緊急事態宣言を受けて、少しでもコアタイムを避けた移動が求められます。
緊急事態宣言を受けて建設業界はどうなる?
緊急事態宣言を受けて建設業界は今後どうなっていくのでしょうか?
懸念事項を含めて考えてみます。
公共工事が止まらない限り動く
国が公共工事を含め、建設業界に対しても自粛要請をしない限り、動き続けることになります。
ただ、今回の緊急事態宣言を受けて、自主的に工事の中断を決めた企業も何社か見られています。
民間事業については各社の判断が異なっていますので、一概にはどうなるかは判断が難しいところです。
工事が継続されれば感染拡大のリスクは当然あります。
感染者が出た場合や感染拡大してきた場合のことは考えていかねばなりません。
資材が手に入らず工事が止まる可能性
建設に必要な資材も中国などからの輸入に頼っているものがあります。
資材が手に入らなくなることで、工事が施工できないという事態も想定されます。
世界的な新型コロナウィルス感染の余波は、今後深まる可能性もありますので代替品の仕入れを含めて考える必要があります。
民間工事は不況のあおりを受ける
建設業界だけでなく不動産開発は今後不況のあおりを受ける可能性があります。
エンドユーザーである個人は、不動産という大きな支出を積極的に動かさなくなるかもしれません。
不動産の需要が少なくなれば、当然建設業界の供給にも影響が出てきます。
新型コロナウィルスの感染が落ち着いたとしても、五輪延期を含めた二次的な不況を民間工事は受ける可能性が考えらえます。
>>五輪延期で建設業界や不動産業界はどうなる?2020年度予測と対策
【緊急事態宣言】建設業界も公共工事も止まらないことで今後どうなる?まとめ
緊急事態宣言を受けても、国の方針として建設業界や公共事業は止まらない方向で進むことになりました。
そこには、やはり経済や労働者といった大きな懸念事項があり、なかなかクリアにすることが難しいといえます。
ただし、自治体の考えと異なっている部分もあり、先行きはまだまだ不透明です。
事業を継続する以上感染拡大を防ぐこと、感染拡大が起こったときにどうするかは考えいかなければなりません。
国の政策だけではなく、そこで働く個人意識の高め方も考えていくべき問題です。