印鑑(ハンコ)を押すためだけに会社に行かなければならない。
コロナ禍の日本において不毛な行動が必要になるケースが散見されています。
しかし、GMOグループなど一部企業が印鑑廃止を表明し、印鑑使用を廃止する流れがでてきました。
印鑑の今後について考えてみましょう。
印鑑(ハンコ)の必要性
印鑑は何のために必要なのでしょうか?
印鑑の必要性から今後の必要性を考えてみましょう。
会社や個人の証明として
印鑑の重要な役割として会社や個人を証明するという役割があります。
他の会社や個人が真似できないような印鑑を作ることで、会社や個人の証明として印鑑は役割を果たしています。
会社や個人の印鑑も印鑑証明として、役所に届け出を出すことで唯一性が担保されています。
この印鑑文化は役所や銀行が主導を切っている以上、役所の仕組みが変わらない限り必要になります。
マイナンバーカードがあっても、印鑑を押す場所に押印しなければ突っ返されてしまいますからね。
役所の仕組みが変わらなければ、民間がどれだけ動いても印鑑が必要な時というのは生まれてしまいます。
印鑑のためだけに出社はムダ
社内書類や顧客への請求書など、会社に来なければ処理ができない。
緊急事態宣言下でテレワークを推奨していた会社も、印鑑を押すために出社せざるを得ないことがあったことでしょう。
しかし、印鑑のためだけに出社しなければならないというのは非常にムダな時間です。
出社しなくてもテレワークで一日過ごせたのにもかかわらず、出社を余儀なくされるときがあるのです。
特に出勤簿や立替清算書などの社内書類であれば、100均の印鑑でもよいわけですから、押す必要すらあるのか疑問も残ります。
個人の証明であればなおさら印鑑の意味が問われますね。
証明は印鑑じゃなくてもできる
会社や個人の証明が課題なのであれば、唯一性のある電子印でも有効であるといえるはずです。
まず前提として、印鑑登録をしていない印鑑も利用しているはずです。
ともすると、誰にでも作れるし購入できるわけですから、印鑑自体は本人を証明するものでも何でもないということになりますね。
特注した印鑑であれば唯一性は担保できるかもしれませんが、それは電子印でもサインでも個人の証明自体は可能です。
現物の印鑑でなければならないという必要性は日に日に弱まっています。
印鑑(ハンコ)が必要な書類
印鑑(ハンコ)が必要な書類はどんなものがあるでしょうか?
印鑑でなければならない書類の価値を確認してみましょう。
役所への提出書類
役所自体がまだまだ印鑑文化です。
婚姻届に印鑑がなければ押印してくださいと突き返されます。
堅い役人文化の中では、思考停止して「印鑑が押されていることが決まりだから」という理由で求められます。
そして、また契約書への押印もルール化されています。
契約書には代表印の押印、収入印紙への割り印が求められます。
役所の委託業務や工事において、印鑑なしでは仕事はできません。
こういった仕組み自体が役所の書類に根付いていますので、印鑑文化自体を改善しなければ書類の電子化は進むはずもないのです。
>>ペーパーレス化の障害とコツ。リモートワークだからこそ推進しよう
顧客や銀行への提出書類
自分の会社がどれだけ印鑑終了を進めようとしても、対顧客・対銀行などへの提出書類で印鑑を求められれば押印しないわけにはいきません。
顧客の指定請求書に代表印がなければ押してくださいといわれて終わりです。
銀行口座を開設するのに登録印を用意しなければ、口座開設ができなくて終わるだけです。
文化が変わらなければ印鑑廃止の流れにはなりません。
自分の会社だけが変わっても、日本が変わらなければ印鑑終了の流れにはならないのです。
社内書類
社内書類への押印はテレワークの推進により、緩和された会社も少なくないのではないでしょうか。
自社書式の見積書には社判がなくても効力はありますし、電子印でも効力はあります。
そもそも印鑑自体の効力はそんなものですので、コロナによるテレワークで見積書や社内書式については電子印や印鑑なしを認める流れも出てきているようです。
前提として、100円均一の印鑑でもよい構わないような書類は、押さなくても構わないということはいえるでしょう。
印鑑(ハンコ)終了の流れ
印鑑(ハンコ)終了への流れは、IT業界に端を発し進み始めています。
そもそも欧米では印鑑の文化すらありませんし、コロナによるテレワークにより印鑑不要論が加速しています。
今後、本当に印鑑(ハンコ)が廃止する流れになっていくかもしれません。
コロナ禍の動きを確認してみましょう。
GMOグループの廃止宣言
2020年4月17日、IT業界大手のGMOインターネットグループが印鑑廃止を宣言して話題になりましたね。
コロナによるテレワーク運用の中で、印鑑による出勤が弊害となることから金融機関や公的機関への提出書類以外について廃止を決めたものです。
IT業界が率先してこういった動きをみせることで、市場にも反応が出てきています。
電子印のシステム化だけではなく、商品開発までしてしまうスピード感には驚きます。
こんなところにビジネスチャンスがあるのかもしれません。
IT担当大臣の発言
2020年4月14日のIT担当大臣の発言にも注目が集まりました。(https://www.asahi.com/articles/ASN4G6D4CN4GUTFK00W.html)
「はんこ文化」がテレワークの妨げになっているとの指摘について、「しょせんは民間の話」という発言をした竹本IT省は、「日本の印章制度・文化を守る議員連盟」(はんこ議連)の会長です。
はんこを守る会とはんこを廃止して電子化をする流れは合致するわけがないですよね。
利益相反となるIT省の立場に世論の反発も出て、ハンコ廃止への流れは加速していきそうです。
役所のハンコ文化への反発が今後高まってくると、本格的にハンコ終了の流れとなっていくかもしれません。
自治体や他の民間企業も印鑑廃止に動き出した
GMOの印鑑廃止宣言を受けて、他の民間企業も印鑑廃止に動き出しています。
ハンコのためだけに出社しなければならないのは、確かにテレワークの弊害でしかありません。
そんな中、2020年4月27日、経団連会長も「ハンコ(に頼る文化)はまったくナンセンスだと思う」との発言があり、ハンコ文化終了への後押しとなっています。
民間企業でも電子印採用は始まってきており、役所への公的書類や金融機関への書類以外では使用しない会社も増えてきています。
建設業界でも請求関連書類の電子化が進み、大手企業では押印なしで清算できる仕組みにもなってきています。
日本独自のハンコ文化は世論の高まりと、コロナによる時流により廃止への流れとなる可能性が現実的となってきています。
まとめ 印鑑(ハンコ)終了の流れは進むと予想
新型コロナウィルスの蔓延により、テレワークは各企業進める流れは続きそうです。
テレワークを推進するにあたり、印鑑を押すというためだけに出社するということは、ナンセンスであると誰しも思うでしょう。
IT業界を中心にハンコを廃止する流れが生まれてきています。
印鑑が会社や個人を証明するためのものという役割だけであれば、インターネットが発達した世界には不要となっていく可能性は高まっています。
コロナ時代において変化に遅れた会社から脱落していくことになります。
世論や時流を捉えて変化に柔軟に対応していくことが、今後会社にも個人にも求めらていくことでしょう。