工事の丸投げ禁止。
聞いたことはありませんか?
しかし、丸投げというのがどんな状態かなかなかわかりにくいものです。
そこで、工事や委託の丸投げに簡単にわかりやすく解説します。
禁止されているのにも関わらずまだまだ行われている現状と合わせて確認していきましょう。
ゼネコンへの営業ノウハウを詰め込んだKindle本を出版しました。
ゼネコンへの営業の基本知識から、私の失敗体験や成功体験を含めた実践的な営業ノウハウを詰め込みました。
Kindle Unlimitedなら30日間無料で読めます!
\ 無料体験で読んでみる /
工事や委託の丸投げとは?

工事や委託の丸投げとはどんな状態を指すのでしょうか?
丸投げの意味となぜ丸投げをしてはいけないのかについて確認していきましょう。
丸投げの意味
工事や委託の丸投げとは、請負における利ざやだけ抜いて、実務すべてを下請け業者に請け負わせることです。
例えば、受注金額の7掛けで丸投げするとしたら、3割の利益を抜いてその他すべてを下請に任せてしまいます。
何もしないで3割の利益が出ればおいしいですよね。
官公庁が発注する工事や委託業務は、民間よりも割高に設定されているケースが多いので中抜きする利ざやだけでも儲かるのです。
そもそも公共工事や委託業務は入札に参加するのにハードルがあります。
>>入札の仕組みをわかりやすく解説。基本となる3つの入札制度とは?
この入札要件の中に、すべての再委託の禁止(丸投げ)が盛り込まれています。
多くの下請けを使いながら施工する工事も、主たる監理業務については再委託が禁止されています。
丸投げは監理業務含むすべてを再委託することを指しています。
なぜ丸投げをしてはいけないのか?
工事や委託業務においてなぜ丸投げをしてはいけないのでしょうか?
発注者目線で考えてみましょう。
工事や委託業務は知識や経験がある者を現場代理人などに配置して、正しい施工をしてもらう必要があります。
ここで、すべて下請業者による施工をした場合、重大なミスが起こる可能性があります。
専門業者を駆使して行う必要がある施工の監理は施工する元請の責任です。
監理ごと下請業者に任せてしまうことでミスが起こるリスクが高まります。
入札要件を満たしてない業者が落札することも、何もしないで利益を出しているのもズルいですよね。
禁止している丸投げは防止しないといけません。
丸投げがバレたらペナルティ
建設業法において、工事や委託業務の丸投げは禁止されています。
これを破って丸投げがバレてしまうとペナルティを課される場合があるので注意が必要です。
- 建設業者は、その請け負った建設工事を、いかなる方法をもってするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない。
- 建設業を営む者は、建設業者から当該建設業者の請け負った建設工事を一括して請け負ってはならない。
建設業法において、一括して丸投げすることは請け負わせることも請け負うことも違法です。
ペナルティとしては指示及び勧告の対象となって、従わない場合は、「一年以内の期間を定めて、その営業の全部または一部の停止を命じることができる」とされています。
現実的には是正できなければ、指名停止などの措置が取られることがありますので、丸投げは行ってはいけないのです。
工事や委託でなぜ今なお丸投げをするのか

工事や委託では丸投げは禁止されていますし、重いペナルティもあります。
しかしなぜ今なお丸投げは行われているのでしょうか?
何もしないで利ざやを稼げる
工事や委託業務において、丸投げしてしまえば何もしないで利ざやを稼げるのは大きなメリットになります。
そこに配置する人材こそが厳しい条件であり、経費と労力がかかります。
何もしないで大きな売上が上がり、利益を得ることができるのは業者にとっては魅力なんですね。
多少のリスクを冒してでも、丸投げできる案件があればしてしまおうという心理も働きます。
また、主任技術者が名ばかりであっても、配置して打ち合わせに参加しておけば施工監理していると言い張れます。
ここにメリットを感じて丸投げする業者はなくならないのです。
要件を満たしていればノウハウがなくても参加できる
入札参加において求められる参加要件を満たしていれば、実際に施工するノウハウがなくても入札に参加できます。
多くの場合入札参加に求められるのは有資格者です。
資格者はいるがノウハウがない仕事というのは実は意外と多いものです。
ノウハウはないものの入札には参加できるので、下請けに丸投げしてしまえばよいと考えるのです。
有資格者の名義借りが行われている実態なども現実的にはあります。
有資格者などの要件さえ満たしていれば、丸投げで利ざやが稼げると考えるのでしょう。
在籍証明の確認が緩い案件がある
工事や委託の丸投げは簡単にバレないから行われている実情もあります。
在籍証明の確認が緩い案件というのも多いんですね。
主任技術者の資格証や保険証などの在籍証明は求められます。
しかし、それ以上の書類は求められないことが多いのです。
名義貸しの主任技術者だけ在籍を証明すれば、実働はすべて下請けということも往々にしてあります。
在籍証明も保険証の写し程度なので、業者によっては偽造していることもあり得ます。
厳密に社員として在籍していることを確認するのは難しいことも、丸投げがまだまだ行われている実態に繋がっています。
工事や委託を丸投げするリスク

工事や委託の丸投げがまだまだ行われている現状がありますが、丸投げは大きなリスクを抱えています。
丸投げのリスクについて確認しておきましょう。
全責任は元請にある
工事や委託を丸投げのリスクはバレたときだけではありません。
丸投げに伴う全責任は元請業者にあります。
キチンと監督せずに重大な不良施工をしてしまった場合、下請けに責任を取らせることはできません。
再施工・違約金・指名停止など経営が立ち行かなくなるような損失を被ることもあり得ます。
それは下請けがやったことだから知らないは通用しません。
元請は全責任をかけて工事や委託を全うしなければならないのです。
ノウハウのない仕事は危険
ノウハウのない仕事の丸投げは非常に危険です。
丸投げ先の下請業者がトラブルを起こしたり、不良施工をしたときに対応ができません。
完全に丸投げしてしまうと何が正しいかわからずにフォローもできないのです。
名ばかりの有資格者がいるだけで、何もノウハウのない仕事を受注するのは非常に危険です。
バレずに進んだとしても検査不合格となる可能性もあります。
丸投げすれば応札できる案件があっても、ノウハウがない仕事ほどリスクのあるものはありませんのでやめておきましょう。
バレたときのペナルティが重い
工事や委託の丸投げはバレにくいんですが、やはりバレたときのペナルティが重いのはリスクですね。
是正措置を取ろうにも取れない案件もあるかもしれません。
丸投げがバレれば大きく信用を失い、次の仕事への影響も出てきます。
指名停止などの措置が取られてしまうと経営に対しても重大です。
建設業法違反の犯罪であるという認識が薄いと痛い目に合いますので注意しましょう。
まとめ 工事や委託の丸投げはやめよう
工事や委託の丸投げはやめましょう。
何もしないで利ざやが稼げる目先の利益に目がくらんで、取り返しのつかないトラブルになる可能性があります。
そもそも建設業法違反である認識も持たねばなりません。
出す方も受ける方も犯罪である認識を持つことが大切です。
まだまだ丸投げは横行していますが、施工できる案件を選別して応札していくようにしましょう。
ゼネコンへの営業ノウハウを詰め込んだKindle本を出版しました。
ゼネコンへの営業の基本知識から、私の失敗体験や成功体験を含めた実践的な営業ノウハウを詰め込みました。
Kindle Unlimitedなら30日間無料で読めます!
\ 無料体験で読んでみる /