「下見積お願いしたいんですが」
お客様からお願いされる下見積。
建設業界で使われる下見積は少し変わった使われ方をします。
そこで、建設業界で使われる下見積の正しい意味と作り方について解説します。
下見積の意味を間違わないように確認してみてくださいね。
下見積とは?
建設業界で使われる下見積は少し独特な意味で使われます。
下見積は一般的に参考見積・概算見積という意味合いで使わます。
仕事を依頼や契約するための見積ではなく、予算の把握や概算把握を目的としているんです。
しかし、建設業界における下見積は大きく3つの意味で使われます。
- 1.予定価格を決める下見積
- 2.概算金額の把握
- 3.ゼネコンの入札積算のお手伝い
詳しく解説していきます。
予定価格を決める下見積
入札には必ず予定価格が設定されます。
この予定価格は通常発注者によって各項目の単価が決められており、数量に応じて積算されています。
しかし、見積単価のない工事や委託業務を発注する場合は、実務が可能な業者から見積を徴収して予定価格を決定させます。
このときに各業者から取得する見積が下見積です。(入札下見積とも呼ばれます)
実際に見積提出したところで、その見積金額で契約するわけではありません。
あくまでも予定価格を決定させることが目的で、三社程度見積を徴収して予定価格を決定させます。
>>三社見積(3社見積)とは?役所に求められる三社見積の意味と作り方
概算金額の把握
下見積の2つ目の目的として、大体どれくらい費用が掛かるかを確認したいときに下見積を徴収します。
あくまでも目的は概算金額の把握です。
実際にその工事や委託が発注されるかどうかもわかりません。
特記仕様書などもない状態で条件などをヒアリングして概算金額を算定することになります。
そのまま、予定価格として下見積が採用されることもありますし、発注自体が行われないこともあります。
ゼネコンの入札積算のお手伝い
下見積にはゼネコンの入札積算のお手伝いという意味合いで使われる場合もあります。
入札に応札するのに特定の工種にいくらかかるか原価を把握しないと応札できません。
この原価把握のために、特記仕様書を読み解いて見積することを下見積と呼ぶことがあります。
実際に落札した場合に下見積にて契約するわけではなく、諸条件を詰めて正式な見積書を提出することになります。
下見積を持って契約するわけではなく、あくまでも原価把握が目的となります。
下見積の作り方
下見積を作成するときには目的に応じて、作り方を変える必要があります。
目的に応じた下見積の作り方を解説していきます。
予定価格を決める下見積の作り方
予定価格を決めるために下見積(入札下見積)を作り方としては、原価ではなく官積単価で積み上げて作成します。
>>官積(官積算)とは?建設業界で使われる「官積」の正しい意味と作り方
原価ベースで実行価格で積算してしまうと、予定価格が低くなってしまいます。
予定価格が低くなりすぎると受注者が損をする可能性がありますので、必ず官積単価で積み上げることが大切です。
また、設計単価がないことから下見積の依頼がきているわけですから、積算根拠のない項目もあるはずです。
そこは実行に合わせた人工の積み上げで積算します。
下見積はいくらで提出しても直接契約するわけではありませんので、公表されている労務単価を使って積算しましょう。
概算金額確認を目的とした下見積の作り方
概算金額確認を目的とした下見積も官積単価で作成します。
どれくらい費用がかかるかの確認が目的なので、安く提出する必要はありません。
依頼の内容が漠然としている可能性もありますので、条件付けをして見積することが大切です。
例えば、昼間施工か夜間施工かで大きく金額が変わりますが、見積依頼の段階ではどちらかを判断できない場合もあります。
そんなときは「昼間施工条件」と条件付けをしたうえで、下見積を提出するようにしましょう。
ゼネコン入札積算のお手伝いとなる下見積の作り方
ゼネコンが応札する入札の手伝いとなる下見積は余裕を持った実行価格をベースに作成します。
原価把握が目的となりますから、官積価格で見積もりしてしまうと実行価格とかけ離れてしまうことになります。
お手伝いしたゼネコンが落札したほうが、営業しやすいわけですから可能な限り協力した見積としましょう。
求められるなら官積単価となる下見積を用意して、予定価格把握の手伝いをしても喜ばれます。
特記仕様書や内訳を読み解いて適切な見積とすることが大切ですが、落札後に多少条件が変わっても下見積よりも高くならないような金額で提出しましょう。
下見積を営業に活かせ!
下見積はまったくお金にならないわけですが、実は営業に活かせるポイントがあります。
営業に活かしていくためのポイントを紹介します。
情報は最強の武器となる
下見積は営業にとって提出したところでまったくお金にはなりません。
しかし、入札が行われる前に情報を手に入れることができます。
この情報は競合他社が手に入れていない情報です。
普通手に入らない特記仕様書や内訳書といった設計書が手に入りますし、必要な工種や予算の情報もつかめています。
情報は営業の最強の武器です。
うまく利用するために積極的に下見積は受けていきましょう。
下見積は恩を売るチャンス
下見積はまったくお金にならないことから、依頼する側も申し訳ないと思って依頼してきます。
下見積を受ける側とすれば、情報が手に入るだけでなく恩を売るチャンスでもあるんですね。
実際に入札が行われるのであれば指名につながります。
ゼネコンへの下見積の協力をしていれば、落札した後実際の業務を行える可能性は飛躍的に高まりまます。
発注者や設計会社からも情報を引き出すことができるかもしれません。
無償で提供する下見積だからこそ、恩を売るチャンスであると覚えておきましょう。
落札業者には先行営業する
ゼネコンへの下見積をしていても、官公庁にして下見積していも事前資料は強力な武器となります。
落札業者に対しては下見積していることをオープンにして先行営業しましょう。
初回挨拶時点から見積を持参することが可能です。
このスピード感が受注につながる可能性を高めます。
下見積の実績も安心感を与えます。
下見積をした入札情報は見落としのないようにチェックすることが大切ですよ。
建設業界で使われる下見積の正しい意味と作り方 まとめ
建設業界で使われる下見積には3つの目的があることを覚えておきましょう。
- 1.予定価格を決める下見積
- 2.概算金額の把握
- 3.ゼネコンの入札積算のお手伝い
それぞれの目的を理解してかないと誤った単価で見積を出すことになりかねません。
見積依頼の段階で下見積がどの目的に当たるのかを正確に確認して、目的に合った見積を提出できるようになりましょう。