テクリス(TECRIS)登録をしてください。
官公庁の業務委託に関連する仕事にしている人で、発注者からテクリス登録を求められたときにキョトンでは困りますね。
しかし、テクリスとは何か?と調べてもわかりやすい情報が出てこないのが現状です。
そこで、テクリスの意味とメリット・デメリットについて解説します。
テクリス(TECRIS)とは?
テクリス(TECRIS)とはどのような仕組みなのでしょうか?
できるだけわかりやすく解説していきます。
テクリスの仕組み
テクリスとはわかりやすくいうと、調査設計業務・地質調査業務・測量業務・補償コンサルタント業務などのデータベースです。
国・都道府県・市区町村等の公共機関や、鉄道・電気・ガス等の公益民間企業が発注した業務を受注した企業が、コリンズ・テクリスセンターに下記の情報を登録します。
コリンズ・テクリスセンターはJCIC(一般財団法人日本建設情報センター)が運営しています。
コリンズ・テクリスセンターのデータベースは発注機関および受注企業へ情報提供され、入札などを行う際の実績確認に利用されます。
また、入札参加資格として、テクリスに登録していることを条件にしている発注機関も増えています。
それらの発注機関の多くが業務契約の際、受注した企業に対して、業務実績データをテクリスへ登録することを仕様書等の契約図書に記載して義務付けています。
(100万円以上の調査設計業務、地質調査業務、補償コンサルタント業務並びに測量業務が対象)
テクリスの意味
テクリス(TECRIS)は和製英語です。
Technical:技術
Consulting:コンサルティング
Records:記録
Information:情報
System:システム
これらの頭文字を取ったのが語源となっています。
テクリスは直訳すると「技術コンサルティング記録情報システム」なんですね。
実際にテクリスのデータベースは『業務実績情報システム』、業務データは『業務カルテ』とも呼ばれることがあります。
テクリスの目的
テクリスの目的は官公庁などの発注担当者が、業者選定をする際に業務実績を確認しやすくするものです。
指名競争入札の場合は、発注者がこれまでの実績を総合的に勘案し指名業者を選定します。
テクリスのデータベースを確認すれば、同様案件の実績を有する業者を確認することができます。
同様案件を無事に完了したという実績ほど安心材料はありません。
また、希望性指名競争入札や一般競争入札の場合も、希望業者の実績要件を満たしているかを確認するためにテクリスは利用されます。
公共工事の前提となる業務の発注にあたっては、業務の地域性、特殊性、企業の技術力などを総合的に評価する必要があります。
このため発注機関は公平な評価により適切な企業を選定し、各業務の入札・契約手続の透明性、競争性を一層向上させるためテクリスを活用しています。
テクリス(TECRIS)のメリット・デメリット
テクリス(TECRIS)のメリット・デメリットについて発注者側、企業側の立場で考えてみましょう。
双方にとって基本的にはメリットがある制度となっています。
テクリスのメリット(発注者側)
発注者側にとってのメリットは、なんといってもテクリスで実績を確認できることにあります。
応札企業の実績を確認できることで、より安心できる企業を選定することが可能になります。
発注者にとって最も不安なことは、落札した企業が適切に業務を遂行できないことです。
要件だけ満たしているものの業務理解が浅いのでは、手間や労力がかかるだけでなく、正しく業務を完了できない可能性がありますので、応札業者の実績確認は重要なのです。
テクリスのデメリット(発注者側)
発注者側にとってテクリスのデメリットは、企業から提出されたテクリスの登録書類をチェックして署名することです。
少し手間が増えますね。
自分の担当現場でテクリスが必要だと少しだけ労力が増えます。
しかし、それだけで共有データベースができるのですから、大きなデメリットとはいえないでしょう。
テクリスのメリット(企業側)
企業側にとってのメリットは、テクリス登録することで実績を積み上げることができ、指名獲得に繋がる可能性があることです。
企業側にとっては喉から手が出るほど欲しい指名です。
テクリス登録によって、実績が可視化されることで指名を受ける可能性は高まります。
テクリス登録しない業者もまだいますので、差別化が図れるようになっています。
手間や費用がかかっても、発注者からの信用を獲得したほうがより利益率の高い仕事に繋がります。
実績を積み上げていける企業にとっては有利な仕組みといえるでしょう。
テクリスのデメリット(企業側)
企業側にとってテクリスのデメリットは3つあります。
少し掘り下げて解説しましょう。
デメリット①手間がかかる
企業側にとってテクリスのデメリットは、テクリス登録や案件の申請に労力がかかる点です。
実績を残すために仕方ありませんが、着手時と完了時2回書類作成が必要な場合は書類作成に多少時間がかかります。
デメリット②
テクリス登録したからといって、飛躍的に指名が増えるわけでもありません。
あくまで発注者側が確認できるようになるだけですので、目に見える結果がわかりにくいのはデメリットかもしれません。
デメリット②利用料金がかかる
テクリスの案件登録には利用料金がかかります。
詳細 | 単位 | 料金(税込み) |
2,500万円以上 | 業務1件ごと | 9,460円 |
500万円以上 2,500万円未満 | 業務1件ごと | 8,591円 |
500万円未満 | 業務1件ごと | 2,776円 |
必要経費と考えるかどうかです。
登録しても指名が増えなければ損が大きいと考えてしまうかもしれませんね。
テクリス(TECRIS)の案件登録手順
テクリスの案件登録手順について紹介します。
基本となる登録方法、種類、時期、料金等不明な点につきましては、下記のJACICホームページを参照してください。
ここでは、企業担当者がテクリス案件登録していく手順について解説します。
実績データを作成
テクリスは利用責任者を設ける必要があります。
基本的にはテクリスとの窓口は利用責任者となりますので、会社に案件登録に必要な書類を提出します。
・業務件名・請負金額・履行期間・発注機関名・契約形態・業務概要・技術者データ・発注機関の連絡先など
これらの必要事項をまとめて、利用責任者から仮登録をします。
特に発注担当者のメールアドレスが間違わないようによく確認しましょう。
登録のための確認のお願い
仮登録が完了すると、システムから「登録のための確認のお願い」が発注機関に送られます。
登録内容が正しいかどうか、発注機関の確認を受ける必要があります。
企業担当者は発注担当者に連絡し、テクリス登録のメールがJACICから届くことと、確認できたら署名の上PDFをいただけるようお願いをします。
発注者から修正指示があった場合には修正し、再度確認申請を行うことになります。
実績データの登録
発注機関から確認の署名をもらえたら、利用責任者にPDFを送付し実績データの登録をします。
なかなか署名を返してくれない担当者もいますので、確認次第すみやかに署名してもらえるようお願いすることが大切です。
発注機関からの証明がもらえないと登録できないので注意しましょう。
テクリ(TECRIS))とは?まとめ
テクリスとはわかりやすくいうと、調査設計業務・地質調査業務・測量業務・補償コンサルタント業務などのデータベースです。
100万円以上の委託案件は原則登録の必要があります。
料金や手間というデメリットはありますが、実績が積み上がっていけば指名をもらえる可能性が高まります。
発注機関もまた実績を確認して、安心できる企業選定をすることに役立っています。
テクリスは企業・発注機関をつなぐデータベースとして活用されているのです。