設計変更とは何か?
公共工事や委託業務における設計変更は正しい理解が必要です。
きちんと仕組みを知っておくと損する設計変更を避けて、得する設計変更を行うことも可能になります。
簡単に分かりやすく仕組みを解説しますので理解を深めましょう。
設計変更とは?
設計変更とは何か?
まずは設計変更の定義と要件を確認しましょう。
設計変更の定義
「設計変更」とは、契約書第18条又は第19条の規定により図面または仕様書を変更することとなる場合において、契約変更の手続きの前に当該変更の内容をあらかじめ発注者が受注者に指示することをいう。 (国土交通省 設計変更ガイドラインより)
難しいこと書いてますね。
仕様書(設計図書)に対して施工方法や内容がそぐわない場合、施工前に発注者と書面にて協議をします。
>>特記仕様書とは?簡単に分かる!特記仕様書の意味と正しい読み解き方
協議の結果、施工方法や内容を変更することを発注者が承諾し、指示することを「設計変更」といいます。
工事や委託業務において、特記仕様書と現地状況がそぐわないということは往々にしてあります。
施工してみないと分からないこともたくさんあるのです。
工期変更や数量変更も設計変更に含まれます。
やむを得ない場合の工期変更や、実際に施工をしてみないと分からない場合の数量変更を行います。
設計変更の要件
設計変更の場合は、発注者と事前に書面による協議し承諾を得ることが要件となります。
現場の状況が異なっているからといって、勝手に違う内容で施工して後で認めてもらおうとしても認めてもらえません。
あくまでも事前に書面で協議することがポイントです。
協議書や指示書といった書面で取り交わしが必要です。
また、設計変更が認められる場合は下記の通り大きく4つに分類されます。
これらの条件は覚えておきましょう。
また、工期変更も事前に承諾が必要となります。
状況が変わったからと勝手に変更することは認められません。
ただし、最初から施工してみないと分からないような数量の変更は、事前の協議ではなく数量が確定した後に行われます。
設計変更で損する場合
なるべく損をする設計変更は行いたくないですよね。
実際の施工や委託業務の現場では、設計変更で損をする場合もありますので押さえておきましょう。
低利益または赤字項目の数量増
低利益または赤字項目の数量増は損をします。
入札は諸経費などを含め一式金額で行われ、各単価は発注者によって割り振られます。
>>官積(官積算)とは?建設業界で使われる「官積」の正しい意味と作り方
その単価が低利益または赤字である項目について、数量増が発生すると損をします。
特に赤字項目が増えると損失はどんどん増えていきます。
設計変更は協議事項ですので、合わない項目は受けないということも選択肢となります。
発注者による無茶な要望の場合もありますが、受けなければ評価が下がる、又は施工中止となることもあり得ます。
損をする設計変更もしなければならないこともあるのです。
小さい数量変更
数量が小さい変更は手間に対して支払われる金額が合わないことがあります。
単価自体は利益が出ても、変更協議にかかる手間のほうがかかる場合があるのです。
協議書を作ることも無料ではありません。
書類を作成し、発注者に提出し協議する。
これらの設計変更の事務処理をすることのほうが経費がかかっている場合は損であるといえます。
設計変更を認めてもらえない
設計変更を認めてもらえないこともありますので注意が必要です。
内訳書の数量が1式となっている場合は、数量変更が認められない場合があります。
例えば騒音振動調査1式という設計であれば、5回測定しても10回測定しても金額は変更しません。
当然少ない方が費用は安く済みますので最小限にしたいところですが、回数が増えるのに変更をみてもらえないということはよく起こるのです。
また、増額して欲しい項目は一般管理費に含まれている内容として、設計変更をはねられることもあります。
見込んでいなかった項目なのに、変更が認めてもらえないということが損失につながるのです。
⇩NET(ネット)価格の正しい意味と使い方
>>建設業界で使われるNET(ネット)価格の正しい意味と使い方
設計変更で得する場合
設計変更はうまく利用すれば利益を増やすことも可能です。
設計変更で儲ける仕組みを解説します。
高利益項目の数量増
高利益項目の数量増は設計数量から増える分利益がでます。
設計単価が決まっている項目に対して、協力会社の費用や材料費を抑えられれば行った分だけ利益が増えます。
例えば、残土分析をしてみたら汚染が確認され、汚染土の入れ替え作業が設計変更となったとしましょう。
このときのトラック運搬費の設計単価に対し、実行価格が50.0%であれば利益率は50.0%ということになります。
高利益となる設計変更は積極的に協議していきましょう。
工期短縮となる設計変更
工期短縮となる設計変更は発注者にも受注者にもメリットがあります。
より良い工法による設計変更は協議していくとよいでしょう。
工期が短縮することで人件費抑えられる上、別の作業に人を動かくこともできます。
人材の有効活用ができるとともに、発注者からの評価も上がるかもしれません。
工期短縮となる協議も積極的に行うとよいでしょう。
単価設定のない設計変更
発注者にて単価設定のない項目の設計変更を行うこともあります。
設計単価がない特殊な項目については、実際に施工できる業者から見積を徴収して設計変更を行います。
このとき、三社程度から見積を集めて平均価格や最安値などで変更をかけます。
この三社見積は受注者にて行うことがありますので、実行価格との差が利益とすることができるのです。
⇩三社見積についてもっと詳しく!
>>三社見積(3社見積)とは?役所に求められる三社見積の意味と作り方
設計変更とは?まとめ
設計変更で重要なポイントは書面による事前協議です。
口頭による協議や後付けはトラブルになることもありますので注意しましょう。
そして、設計変更で損する場合と得する場合があります。
ここはきちんと設計変更の仕組みを理解しておかなければなりません。
官公庁の営業マンは設計変更の事務手続きをすることもあり得ますので、仕組みについてはよく理解しておきましょう。