一度入社した会社で一生働くという終身雇用制度。
2020年現在、新型コロナウィルスの影響で会社も雇用を守ることが難しくなってきました。
崩壊しかけていた終身雇用制度は、コロナを機会に制度崩壊を加速させています。
正社員の終身雇用制度の現在と今後の働き方について考えてみましょう。
正社員の終身雇用制度とは
一昔前は正社員として入社すれば一生安泰。
会社が社員を守るという時代がありました。
まずは終身雇用制度とは、どんな状態だったのかを確認してみましょう。
終身雇用制度とは
「終身雇用制度」とは、企業が労働者を入社から定年退職するまで雇用を保証する制度です。
企業側は業績の大幅な悪化などの特別な事情がない限り、強制的に正社員を退職させることはしないというのが慣例となっていました。
2020年現在でこそ転職や副業が当たり前という風潮がでてきました。
しかし、終身雇用制度全盛期においては、企業は一度入社した労働者を守らなければいけないし、労働者は同じ会社で一生働くことが当然の時代だったのです。
正社員の雇用は守られていた
終身雇用制度において、正社員の雇用は守られていました。
外資系などの一部の企業を除き、業績悪化や個人成績があまりにも悪くなければ、リストラや減給はほとんどなかったのです。
一度上がった給料は下がることがなく、定年退職に向けて徐々に上がっていく。
ある程度の会社で正社員になれば、一生食いっぱぐれるようなことがないことが安心した生活を生み出していたのです。
正社員は年功序列
まだ根強く残る正社員の年功序列の仕組みも、終身雇用制度が生んだ副産物といえるでしょう。
能力よりも年齢を重視した役職編成は、2020年現在も残っている企業が少なくありません。
当然年齢を重ねるに連れて経験を積んでいきます。
公務員などが能力による差別化をしにくい面があり、採用されていた年功序列は一般企業にも浸透していました。
日本企業は能力ではなく、年齢によってキャリア形成がされることが普通だったのです。
正社員の終身雇用が終わる原因
新型コロナウィルスが蔓延する前から、正社員の終身雇用崩壊は始まっていました。
日本を代表する企業トヨタの社長が2019年5月13日にこう述べました。
「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」
終身雇用が難しくなってきた原因について考えてみましょう。
高給取りの高齢者
年功序列が普通であった時代、生産性の低い40代、50代の高給取りが多く存在していました。
徐々に上がっていく賃金という固定費と、実際の生産性がそぐわなことが時代の変化とともに現れてきています。
PCスキルが求められ、新しい発想が必要な時代において、PCスキルの乏しい古い発想しかできない人材に高賃金を払うのは難しくなっているのです。
高給取りの高齢者が経営を圧迫している現実に、企業が終身雇用が難しいと考える一因があるのです。
AI化による仕事の削減
誰にでもできる仕事はAI化によって削減されていきます。
技術の進歩と共に、人にしかできないと思われてきた仕事は奪われていきます。
コスト削減・仕事の効率化が進むことで不要な人材は削減していくことになります。
企業は利益を上げ続けるという使命を持っているからです。
AI化で整理される人件費が一般的になってきたことも、正社員の終身雇用制度崩壊の原因と言えるでしょう。
少子高齢化による人材不足
少子高齢化により、若く優秀な人材の確保が企業には困難になってきています。
優秀な人材はよりよい環境を求め転職を行い、人材の流動性も高まっています。
転職活動は時代とともに一般的となり、労働者もまた一企業に身をささげるという意識が低下してきました。
これらは少子高齢化による、労働者人口のピラミッドが逆転していることに端を発しています。
高齢者の労働人口削減と優秀な若い人材確保が必要な企業にとって、終身雇用制度の考え方とマッチしていないといえるのでしょう。
コロナによる終身雇用崩壊の加速
新型コロナウィルスの蔓延により、終身雇用制度崩壊は加速していくでしょう。
コロナとの関係を踏まえて考えてみましょう。
>>アフターコロナの働き方を考えろ!アフターコロナとは?考えられる変化とは?
コロナで雇用は守れなくなる
コロナの影響で会社の業績は軒並み低迷しています。
倒産・リストラ・減給といった現実は起こっており、経済活動の低迷は長期化するという向きもあります。
企業は倒産というのが最悪のストーリーなので、まずは固定費を削減するところから取り組みます。
それがリストラであり、減給です。
今まで正社員として入社すれば一生安泰ということはなくなってしまったのです。
このリストラや減給はどの企業にも起こりうることであり、生産性の低い社員から行われます。
ここで終身雇用制度で甘えてきた人材があぶり出されることになるかもしれません。
会社に依存していてはいけないと気づく
コロナにより働きたくても働けない環境の人が増えています。
ここでみんな、会社に依存していてはいけないと気づいたはずです。
緊急事態宣言により、強制的に止められている業種も存在します。
このとき、会社も個人も一生一つの仕事だけを行うリスクを感じたことでしょう。
1つの収入源が遮断されたときに、企業も個人も会社に依存する体質を改善することが必要になったのです。
>>コロナで暇なら資格を取ろう!外出自粛だからこそ資格取得するメリット7選!
企業も個人も副業がベーシックに
副業禁止していた企業は、副業により本業が疎かになる人材の流出を懸念していたことでしょう。
副業を禁止する代わりに労働者の生活保証をしていたわけです。
しかし、コロナの影響で労働者の保証が困難になりました。
労働者も会社への依存ができなくなりました。
これにより企業も個人も副業がベーシックな考え方に切り替わってきています。
コロナの影響で副業解禁する企業は増えてきています。
副業解禁に伴い、さらに終身雇用制度の崩壊は加速していくことでしょう。
>>副業解禁する企業が激増するかも!?始まる大不況に誰よりも早く備えよう
まとめ 正社員の終身雇用制度はもう終わり
公務員でなくても正社員になれば、一生安泰という時代はコロナにより難しくなりました。
- 高給取りの高齢者
- AI化による仕事の削減
- 少子高齢化による人材不足
これらの理由でもともと正社員の終身雇用は難しくなってきたところに、コロナの影響が追い打ちをかけています。
企業が労働者を守ることができなくなることにより、個人は新しい収入源の確保も必要になります。
企業に依存していては今後の生活は保障されません。
今回のコロナウィルスを機に会社との向き合い方、働き方を考え直す必要があるといえるでしょう。