ゼネコンへの営業の仕事って意外と情報ありません。
ゼネコンの営業社員としてではなく、ゼネコンが顧客であるという営業の仕事です。
そこで、ゼネコン向けの営業の流れを理解できるように、受注フローと営業手順について解説したいと思います。
ゼネコンへの営業の種類
ゼネコンへの営業といっても、色々な業種が考えられます。
まずはゼネコンとは何なのか?
ゼネコンへの営業となる業種にはどんな業種があるのか?
これらを確認してみましょう。
ゼネコンとは?
ゼネコンは「General Contractor」(ゼネラル コントラクター)が語源とされています。
直訳すると「総合請負者」を意味しています。
ある程度「設計・施工・研究」まで行う会社を総称するのが通例であり、資本力・技術力を有している会社を示します。
ゼネコンが請け負う範囲としては土木工事全般~建築工事全般であり、複数の専門業者を使って施工管理を行います。
⇩ゼネコンについてもっと詳しく!
>>ゼネコンとは何の略?わかりやすく言葉の意味と定義を確認しよう
ゼネコンへの営業となる業種
建設業界は2019年度で約55兆円の市場規模を誇り、就労者数500万人を超えている市場です。
そこに関連する業種も様々です。
どの業種にも必要な求人営業や事務機器などの営業以外に、建設業界に特化した営業職が存在するのです。
これらの業種があげられます。
詳しく解説していきましょう。
総合建設業者
ゼネコンと同じように元請けとして工事を行うこともある会社です。
ただし大規模工事を行う資本力がないため、中堅以上のゼネコンの下請けとして工事の施工を行います。
元請けのゼネコンの手足となり工事の実行を行います。
元請けのゼネコンが施工監理をほとんど行わなわず、下請けに工事をさせることを「丸投げ」と呼び、公共工事においては一部禁止されている請負形態となります。
専門工事業者
杭工事・地盤改良工事・鳶工事・解体工事・設備工事・空調工事などといった専門工事業者はゼネコンへの営業となる仕事です。
単独で元請けとなる場合もありますが、総合建設業であるゼネコンからの依頼が重要となる業種です。
ゼネコンと専門工事業者は持ちつ持たれつの関係にあります。
ゼネコンは専門工事業者を駆使して施工を進める必要があるからです。
測量・地質調査などの調査業者
土木工事や建築工事を施工する際には、測量や地質調査などの調査工を行う必要性があります。
発注先は官公庁・不動産デベロッパー・設計会社などもありますが、ゼネコンにも非常に大きな市場があります。
どんな工事にも測量や地質調査などは必要だからです。
その他調査工は工事の施工規模や概要によって行うか判断されます。
人材サービス業者
交通整理警備員(ガードマン)・重機オペレーター・CADオペレーターなど人材サービス業種もゼネコンへの営業となります。
特に、ガードマンは需要が大きいのでゼネコンへの営業が活発となっています。
どんな工事でも搬入・搬出に関わる場所にはガードマンの配置が必要だからです。
資材業者
建築資材・建機リース・測量資材などの資材業者はゼネコンへの営業を行う業種です。
直接ゼネコンが手配する場合と専門業者が手配する場合とがありますが、ゼネコンの市場は非常に大きなものです。
ゼネコンへの営業の流れ
ゼネコンへの営業の仕事はどのように営業をするのでしょうか?
どのような流れで受注となるのでしょうか?
受注までのフローをもとに確認していきましょう。
受注までのフロー
ゼネコンへの営業はどのような手順で行われるのでしょうか?
受注までのフローを確認してみましょう。
情報収集➡案件の選別➡電話営業➡面会・打合せ➡見積書の作成➡見積書の提出➡金額交渉➡受注
これが大まかな流れになります。
各工程ごとに詳しく解説していきます。
情報収集
ゼネコンの行う工事といってもどこを狙うかはその会社のスタンスによって異なります。
大きく分けて工事の発注先は2つに分かれます。
- 公共工事
- 民間工事
このどちらに営業するのか、両方に営業するのかにより情報収集の仕方も異なります。
公共工事
公共工事は国や地方自治体などが発注する工事です。
土木工事のほとんどは公共工事となります。
建築工事では小学校や公共施設の建替や改修工事などがあります。
公共工事については、インターネットや新聞などで発注情報や落札結果を確認することができますので、それらの情報収集により案件の選別を行います。
>>入札結果の調べ方。無料媒体でできることと有料媒体でできること
民間工事
民間工事はマンション建設や大規模施設などの建設工事や解体工事が中心となります。
この民間工事の情報はなかなか市場に出回りません。
建築現場の確認申請をもとにインターネットや新聞などで一部確認できますが、その多くの情報は顧客から直接聞くことで情報収集しなければなりません。
そのため、顧客とのコミュニケーションや人脈が重要になります。
民間工事の情報はなかなか簡単には手に入らない情報です。
⇩建通新聞は入札結果や民間工事の情報を収集する最適ツールの1つです。
>>建通新聞ってどう?実際使ってみた感想、評判、口コミ【入札情報サービス】
案件の選別
公共工事の落札情報や民間建築工事の情報などを基に案件を選別します。
当然工事規模が大きいほど需要が見込まれます。
また工事概要に応じて必要な業種が選別できますので、工事件名や工事概要から、自社のサービスや商品を関連付けて案件の選別を行います。
これらは毎日多くの情報が手に入るはずです。
公共工事は自治体ごとに数多く行われています。
主要な案件をチェックし、日々リスト化していくことが大切です。
電話営業
電話営業においては選別した案件や、今までの実績による人脈などから担当者との面会アポイント調整を行うところから始まります。
工事概要に応じて建築部・土木部などのセクションを選別し電話営業を行います。
ゼネコンも規模が大きいほど担当セクションや担当者とのコンタクトが難しくなります。
そのため、情報収集や時間を変えた連絡で担当者を捕まえることが大切です。
担当者と電話ができましたら、自社のサービス内容を説明し、面会のアポイントを取り付けます。
⇩電話営業で劇的にアポを取れるようになるコツはこちら!
>>電話営業でアポを取るコツ!【受付突破編と担当者との会話編】
面会・打合せ
直接訪問し現場担当者に挨拶を行います。
このとき、担当者の役割をよく確認することが大切です。
ある程度の規模の工事である場合、現場代理人や監理技術者といった立場の人が決裁権を保有します。
業者選定を行う決裁者が誰であるかという情報は非常に重要です。
ゼネコンで決裁を行うのは作業所長であることが多いのが特徴です。
現場代理人や監理技術者のうちどちらが決裁者なのかをよく見極めることが重要です。
⇩決裁者が誰なのか見抜くコツはこちら!
>>決裁者とは?法人営業は決裁者が誰なのかを見抜くことが最も大事!
見積書の作成
見積書の作成に当たっては面会・打合せ時に見積書作成に必要な資料をもらいましょう。
必ずもらうべき資料は特記仕様書・内訳書・工事図面一式です。
>>特記仕様書とは?簡単に分かる!特記仕様書の意味と正しい読み解き方
特記仕様書と内訳書を照らして正しい読み取りをすることが大切です。
ここで専門業者としての営業力が問われることになります。
見積書の提出
決裁者との金額交渉が最後の難関です。
現場担当者・作業所長・土木or建築部長、購買部長など、誰が最終的な決裁権をもっているのかを確認しながら金額交渉を行います。
「ネット見積」「実数清算見積」「単価見積」など条件に合った見積を作成し、金額をクロージングして初めて契約となります。
受注
ゼネコンの決裁者との金額の合意が取れましたら、受注が確定となります。
ゼネコンとの契約は多くの場合、ゼネコンごとの様式で注文書請書や契約書の形態で行われます。
この書類の取り交わしが済むまでは完全に安心できません。
別業者にひっくり返ることや勝手な減額・手形決済など条件面の詰めも必要になるからです。
>>営業のクロージングとは?失敗例から正しいクロージングの方法をつかもう
また、少額であれば契約書の取り交わしなどを行わずに口頭による契約で仕事を進めることもあり得ます。
あとでトラブルとならないようメールなどの記録を残して進めることをおすすめします。
ゼネコンへの営業の流れ まとめ
ゼネコンへの営業の仕事は非常に大きな市場のため、いろいろな業種の会社が営業を行います。
特に大きな業種として総合建設業者専門工事業者測量・地質調査などの調査業者人材サービス業者資材業者などがあげられます。
それぞれ業種は異なりますが営業フローは大枠同じです。
作業所長・セクション長・購買担当などの決裁者をうまくつかみ営業することが大切ですよ。