入札において「予定価格」というものがあります。
予定価格とは官公庁の入札における基準額となるもので、官公庁営業担当者はよく理解しておく必要があります。
そこで、官公庁営業の視点から予定価格について、その仕組みや注意点をわかりやすく解説します。
入札における予定価格とは
入札における予定価格についてわかりやすく解説します。
入札の基本的な仕組みと合わせて確認していきましょう。
入札の基本的な仕組み
まず、入札・契約制度は大きく分けて3種類あります。
- 一般競争入札
- 指名競争入札
- 随意契約
関連記事>>入札の仕組みをわかりやすく解説。基本となる3つの入札制度とは?
これら3つの入札・契約制度どれをとっても、官公庁が委託発注する業務においては予算ありきとなります。
予算を確保してからでなければ、工事や委託業務は発注できないんですね。
官公庁がある工事を発注しようとする場合、工事に必要な工種に対する金額を1つ1つ積算し、その予算の範囲内で契約しなければならないのです。
予定価格とは
入札における予定価格とは、官公庁が業務を発注する際に必要と認めた基準価格です。
わかりやすくいうと予定価格とは入札価格の上限値ですね。
予定価格以下で応札しないと落札はできません。
原則的には、この予定価格以内で応札した業者の中から、最も安い金額で応札した業者を落札業者とします。
逆に、応札した全社が予定価格を超過した場合には入札は不調となります。
この予定価格については事前に公表されている場合とされていないがありますが、多くの場合公表されていません。
官公庁営業担当者は、この予定価格を読んで応札することが求められるのです。
予定価格は落札する上で非常に重要な要素の1つなのです。
最低限制限価格も押さえておこう
予定価格に対し、最低限制限価格が設定されている入札も少なくありません。
最低限制限価格とは入札価格の下限値です。
最低制限価格を下回ると問題なく履行できるか調査が入ったり失格となったりします。
最低限制限価格のない入札では、下限値なく一番金額が安い業者落札者となります。
落札したはよいが正しく履行されないでは困るので、金額の上限値と下限値の設定は時として必要になるのもわかります。
官公庁営業担当者は最低限価格をつかまないといけないんですね。
最低限制限価格は予定価格から算出されます。
予定価格の何%かに設定するかは入札によりますが、ここでも予定価格をつかむことが重要になるのです。
入札における予定価格の積み上げ方
入札で落札するためには予定価格をつかむことが大切であることがわかりました。
では、どのように予定価格はつかんだらよいのか確認していきましょう。
官積単価を当て込む
予定価格を積み上げるためには官積単価をつかむことが重要です。
入札にはいくつもの工種や数量が複合しています。
その1つ1つに単価設定がされていて、その合計が予定価格となるんですね。
ですから、その官積単価をすべてつかむ必要があります。
官積単価は最新の労務単価や材料費など、様々な要素で発注者ごとに設定されているものです。
発注者ごとの官積単価を読み解いて、予定価格を算出するのです。
もっと詳しく>>官積(官積算)とは?建設業界で使われる「官積」の正しい意味と作り方
特記仕様書と内訳書の照らし合わせ
予定価格は特記仕様書と内訳書を照らして、単価を当て込み積み上げることが重要です。
>>特記仕様書とは?簡単に分かる!特記仕様書の意味と正しい読み解き方
最重要となる特記仕様書と内訳書で数量の相違が発生する場合もあります。
また、内訳書では一式と表記されてまったく金額が読み解けない場合もあります。
この辺を特記仕様書と照らしながら、読み解かないと正しい予定価格は見えてきません。
標準仕様書をベースに特記仕様書も正しく読み解けるようになりましょう。
単価がわからなければ実行価格
官積単価はどうやっても見えない場合があります。
そんなときは実行価格を算出して計算するしかありません。
協力会社に相談したり、実際にかかる人工をはじいたりして計算します。
入札は実行価格と予定価格の両面から応札金額を計算するものです。
実行価格と上限価格(予定価格)下限価格(最低限制限価格)、そして競合の応札額なども予想しなければなりません。
関連記事>>一般競争入札を落札するためのコツとは?【官公庁営業担当者必見】
入札における予定価格に関する注意点
入札における予定価格の取り扱いには注意点があります。
予定価格に関する注意点もしっかり押さえておきましょう。
発注者への予定価格聞き取りは犯罪
入札に関わる予定価格は、官公庁の営業担当者が喉から手が出るほど欲しい情報です。
最低限制限価格への読み取りにも必要ですし、随意契約なら可能な限り満額で落札したいからです。
しかし、発注担当者に予定価格の聞き取りをしてはいけません。
発注者への予定価格の聞き取りは犯罪として罰せられる可能性があります。
特に官製談合の罪は重大です。
官製談合とは発注者にお金などを渡して、入札情報を不当に引き出すものです。
予定価格や最低限制限価格などの聞き取りは絶対にやってはいけません。
関連記事>>談合とは?入札談合の仕組みをわかりやすく解説!絶対にやってはいけません
予定価格は公表される場合がある
予定価格は基本公表されませんが、公表される入札も存在します。
最低制限価格も公表されている場合もあり、この場合は同額入札が増えます。
落札したい会社は最低制限価格ギリギリの金額で応札しますので、落札者はくじなどによって決定されます。
予定価格が公表されると競合もこぞってギリギリで応札してきますので、なかなか落札できないというデメリットにもなるのです。
予定価格は想定より低いかもしれない
単独で契約する随意契約などの場合、可能な限り予定価格に近い金額で契約したいところです。
関連記事>>随契(随意契約)とは?官公庁営業が絶対に知っておくべき随契の仕組み
しかし、予定価格が読み切れないと予定価格を超過してしまうこともあります。
この場合、再度金額を入れ直すのですが、金額を下げても予定価格調査してしまうかもしれません。
何度も金額を入れ直したり、回数によっては不調となってしまうこともありますので注意しましょう。
また、競争入札の場でも予定価格が低すぎて、各社予定価格超過ということもありえます。
落札したくても予定価格が低すぎて割に合わないこともあるのです。
入札における予定価格とは まとめ
入札における予定価格とは入札金額の上限値と覚えておきましょう。
予定価格以下で応札しないと落札はできません。
そして、予定価格以下の会社の中で最も金額の安い会社が原則落札することになります。
この予定価格は応札する上で重要な情報です。
最低制限価格が設定される場合には、予定価格から割り出さなければなりません。
予定価格を積算できるようになることが、官公庁営業の大事な仕事でもありますので是非覚えてくださいね。